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洛西用水とは?


> 雑学
洛西用水 洛西用水は、5 世紀頃に大陸から帰化人の秦氏によって開発され、弓月君(泰氏)の時代には土木、 養蚕、機織などの技術が導入され、地域の反映に繋がった。第二次世界大戦後、洛西普通水利組 合が結成されたが、昭和の時代に洛西土地改良区に組織変更され、次に府営洛西農業水利改良 事業が実施されて完了した。 泰氏の渡来は諸説があるとされているが、秦の始皇帝の末裔とされ、百済の人々を率いて太秦を 本拠地として栄えたとの伝承がある。泰氏一族が築いたとされる古墳が、現在の一ノ井堰近傍に位 置している。 洛西用水の歴史的特徴を持つ地域としては、大井神社、車折神社、松尾大社などが有名であり、 挙げられることであろう。大井神社は、秦氏が地域を開拓した際に治水の神として祀られたことが 始まりであると伝えられているそうだ。車折神社では毎年 5 月に平安時代の舟遊びを再現する「三 船祭」が行われる。また、松尾大社は、祇園八坂神社と対面する位置にあり、洛西用水の一部として も機能していると言えるだろう。 現代に話を移すと、昭和 20 年代に行われた府営洛西農業水利改良事業により、桂川の取水口が 再整備されて、幹線用水路が左岸幹線用水路 5.9 km、岸幹線用水路総計 15.0 km に拡充された。 昭和 40 年に完了したこの事業では、先ほど紹介した一ノ井堰の土砂吐ゲートの操作室が右岸に 設けられて、洛西用水の水利施設が近代化されることとなった。近年では、老朽化した水利施設が 手廻しで運用していた主要ゲートが電動化され、集中管理システムが導入された。しかし、混住化 や都市化の進行により、受益地が激減してしまい、洛西土地改良区は幹線用水路の管理や堆積土 砂、流入塵じんの排出に苦慮しているという問題も抱えている。現在の集中管理システムは更新さ れた結果、管理対象が拡張されている。 このような状況の中で、洛西用水は農業就業者の高齢化や激減、耕地面積の激減などの諸問題 に直面している。専門の講義で学んだような、地域の多面的機能を維持・発揮し、歴史的な価値を 守りながら、持続可能な形での運用が求められていると考えられる。 さらに、洛西用水は地域社会において重要な役割を果たしていると、見学して考えた。農業だけで なく、観光や文化の一翼も担っていると言っても過言ではないだろう。泰氏の時代から続く歴史的な 遺跡や神社は観光地として多くの人々を引き寄せていることを、ポートレート撮影をしながらも実感 した。また、洛西用水の周辺には歴史的建造物や美しい自然が広がっており、地域の魅力を高めて いたように感じた。 洛西用水は歴史と現代が交錯する場所と紹介され、その存在は地域社会に深く根ざしているとい える。そのため、今後も地域の発展や環境の保全を考えながら、環境的にも経済的にもまた防災の 面からも、持続可能な形で洛西用水を管理し、地域社会においてより一層の発展を遂げることを期 待したい。 参考文献 藤原正幸. カバーヒストリー「池干しの広沢池」,水土の知(農業農村工学会誌),第 85 巻,第 11 号,pp.64-65, 2017. 松尾大社社務所. 案内パンフレット. http://dobokuisan.starfree.jp/42_rakusaiyousui/rakusaiyousui.html https://www2.city.kyoto.lg.jp/somu/rekishi/fm/ishibumi/html/ni046.html https://www.chikyu.ac.jp/minna/nozoite/2017/bouken_no2.html 1 月 31 日閲覧. ならびに現地の碑文、案内板